行服・審査請求と再審査請求は「裁決」なのに、再調査の請求は「決定」?

行政法

再調査の請求って他のふたつ(審査請求、再審査請求)と色々違っていて異色ですよね。
なんで再調査の請求は「裁決」じゃなく「決定」なのでしょう?

「審査請求」と「再調査の請求」の用語の違い

行政不服審査法上の不服申立てに対する最終的な判断は、手続きの種類によって以下のように呼び分けられています。

  • 審査請求(原則・メインルート) → 「裁決」(審査庁)
  • 再調査の請求(例外・脇道ルート) → 「決定」(行政庁自身)
  • 再審査請求(2回戦) → 「裁決」(審査庁)

再調査の請求はあくまで例外です。法律に再調査の請求をすることができると定められているときだけ、可能です。
これは、大量に行われる処分について大量の審査請求が来ると審査庁が大変になるので、処分庁自身である程度見直してみてよ、ということのようです。(国税に関する処分など!確かに大量に審査請求が来そう…)

こうやって見ると「なるほどね~」で済む話なんですけど、問題で「決定で却下する」みたいな文章が出て来たら、「却下…?却下は裁決なんじゃない…?」みたいなことを思ってしまいがちです。
再調査の請求なら「決定」!却下も棄却も決定です!

「決定」と「裁決」は何が違うの?

「決定」と「裁決」の違いは、「誰が、どんな手続で判断するか」という重みの差を反映しているとイメージするとよさそうです。

  • 「裁決」はフォーマルな判断: 審査請求は、原則として「処分に関与していない審理員」が審理し、さらに第三者機関である「行政不服審査会」などのチェックを経て出される、裁判に近い非常に厳格で重みのある判断です。そのため、裁判の判決に似た「裁決」という言葉が使われます。
  • 「決定」はカジュアルな(簡易な)判断: 再調査の請求は、処分をした役所(処分庁)自身が「自分たちのミスがないか、もう一度サッと確認する」という簡易な手続きです。審理員制度や審査会への諮問といった厳しいルールも適用されません。関係行政庁への拘束力もなし。行政内部の一般的な意思決定と同じ「決定」でしかないんですね。

「裁決」は裁いてるんですね。第三者や上司が白黒はっきりつけて裁く。なので審査請求・再審査請求は「裁決」。

「決定」は役所自身が決めるということ。自分たちでもう一度見直して、このままでいいか、何らかの訂正をするか決めるだけ。なので再調査の請求は「決定」なんですね~。

再調査の請求は簡易な手続、でも執行停止は準用される…

再調査の請求は処分庁自身による「セルフチェック」みたいなものです。なので、審査請求のような第三者的・客観的な審理プロセスは一部省略されています。
そのため、以下の規定は準用されていません

  • 事情決定(審査請求における「事情裁決」にあたるもの):処分が違法でも取り消さない特別な判断。
  • 審理員制度:処分に関与していない職員が審理する仕組み。
  • 行政不服審査会への諮問:有識者による第三者機関のチェック。
  • 拘束力:審査請求の「裁決」には関係行政庁を縛る強い力がありますが、再調査の請求の「決定」にはこの規定が準用されません。処分庁自らが処分を見直す簡易な手続に、他の行政庁までをも法的に縛るような強力な効力は想定されていないんですね。

しかし!「執行停止」は再調査の請求でも準用されます

簡易的な手続きであっても、再調査をしている間に処分の執行(差し押さえなど)が進んでしまい、取り返しのつかない損害が生じるリスクは変わりません。
そのため、国民の権利を守るための「一時停止ボタン」である執行停止制度は、再調査の請求においても利用できるようになっているんですね~。

執行停止の他に準用されているものは、手続きの公平性や利便性を守るための制度です。

  • 総代・代理人・参加人による手続きの実施。
  • 口頭意見陳述権:口頭で意見を述べる機会。

このへんは基本的なルールだから再調査の請求にも使いましょう、というイメージでいいのではないでしょうか。多分試験には出ませんね…。

まとめますと、

  • セルフチェックだから不要でしょう:審理員、審査会への諮問(これらを入れると「簡易」ではなくなってしまうため)。
  • 簡易的手続とはいえ国民を守るために必要でしょう執行停止、口頭意見陳述(処分の実行を止めないと、再調査の意味がなくなるので)。

という感じで理解すれば大丈夫そうです。
再調査の請求が醸し出す異色さは、すべて、この手続は「簡易的なセルフチェック」に過ぎないというところから発生しているわけですね。

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