「市街化調整区域内の開発許可」の取消しを求める訴えの利益は、工事完了後も失われない。
「市街化区域内の開発許可」の取消しを求める訴えの利益は、工事が完了すると失われる。
……何度やっても毎回間違えるこの問題。紛らわしすぎ!!
一緒にどうにか覚えてしまいましょう!
まずは結論を正確に
- 市街化調整区域内の開発許可: 工事が完了し、検査済証が交付された後であっても、当該開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われません(最判平27.12.14)。
- 市街化区域内の開発許可: 工事が完了し、検査済証が交付されると、その開発許可の取消しを求める訴えの利益は失われます(最判平5.9.10)。
ちなみにこの「工事が完了し、検査済証が交付され」という状況は、建物を建て終わった段階ではなく、道路の整備や土地の整地が終わった後のようです。
この取消し訴訟をしている人は、「あんなに自然豊かだった場所に宅地の開発許可を出すなんて!」と騒いでいたわけですね。
そして訴訟中に工事が完了してしまった、と。
なぜこのような違いがあるんでしょう?
それぞれの区域の「元々の目的」が違うみたいなんですよね。
- 市街化調整区域(開発を抑制する場所): ここは「原則として家を建ててはいけない、自然を守る場所」です。開発許可が取り消されれば、行政庁は「建物の建築許可を出さない」という判断ができるため、周辺住民が「景色を守る」という目的を達成できる可能性が残っています。だから、工事が終わっても「まだ争う意味(利益)がある」と判断されたのですね。
- 市街化区域(開発を進める場所): ここは「どんどん街にしていこう」という場所です。開発許可は「建てるまでのプロセス」のチェックに主眼があるため、一度建ってしまったら、許可のハンコを消したところで元の自然が戻るわけでもなく、周辺住民の利益が劇的に回復するわけではない、と裁判所は考えたのでしょう。
「自然を守る場所にしよう」場所と、「どんどん街にしたい」という場所に、似たような名前をつけるからこういうことになったんですね~~!
「市街化調整」なんかじゃなく「自然化区域」にしてくれていれば悩むことはなかったのに…。
覚えるしかないので…
「区域の名前の漢字」に注目してイメージ化する方向でどうにか覚えたいところです。
- 市街化調整区域 = 「調整(抑制)する」区域 ここは行政にとって「建てるのを止めるのが目標」なので、造成が完成してもまだ「建築阻止」できる可能性が残っている(建築許可)。だから試合は終わらない。訴えの利益はまだ残っている。
- 市街化区域 = 「街にする」区域 ここは行政にとって「街にするのが目標」なので、造成が完成したら試合終了。今さら許可を消しても土地は元に戻らない。だから訴えの利益も消える。
「街にしたい場所は土地の造成が完了したら終わり。抑制(調整)したい場所は造成した後もワンチャン阻止可能だから続行」という感じでしょうか。
これ、本当はこの市民は「こんなに自然豊かな場所を宅地にしようなんて!やめてよ!」と騒ぎたかったはずなんですよね。つまり、市街化区域指定そのものを問題にしたかったはず。
でも間に合わなかったか何かで出来なかった。
だから開発許可という手続自体の不備を突く形にせざるを得ず、こんなふうにあまり強く言えない感じになっちゃってるんですね~。

